新年早々、前歯が折れた その2

前回はこちら

前回のあらすじは・・・

自転車でエコバックが車輪に挟まって急ブレーキしてしまい、投げ出されて体が中に浮いた挙句顔面着地して、心配して老夫婦やおばさん達が駆け寄ってきた中、口の中に違和感を感じるので口開けて聞いてみたら前歯が折れてた。

一文で説明が済むところを長々と描いて申し訳ありませんでした。

正直、イラストで状況まで付けましたがそこまでしないとその後の自分の動揺苦悩が伝わらないと思いまして、今回はその心の暴れ回る様を書き記したいと思います。

その2

『あれ、君、前歯、欠けてるねぇw』

口を開けて老夫婦のおじさんに確認してもらったら衝撃の一言が。

心なしか奥さんの方は、まぁ・・・かわいそう。。って表情をしているが教えてくれたおじさんの方は『あー、やっちまったなぁ!!w』みたいなノリで若干笑い顔だった。

・・・え、前歯が・・・?無い・・・?

この時点で顔面の痛みがさっとひいた。おそらく血の気が引いて脳が痛みを感じることも忘れてしまったのだろう。

え、前歯がないってどういうこと?しかも片方?え、今どういう状況なの?

前回最後に欠けた歯の写真を乗っけたが、実はこの時点で歯は道路に吹っ飛んでおりどこにあるかわからない。

自転車は特定されかねないのでモザイクをかけましたが、こんな感じで。

前回書いてなかったけど実は給水ボトルを2個積んでいて、それも地面にぶちまけてしまいプラスチックの破片が散乱しており、見分けがつかない。

というか水のボトルのおかげで自転車の慣性力にも拍車がかかっていたかと思うと、今この写真を見ると給水ボトルさえも恨めしい。

というかこの時点で冷静に考えればスマホで自撮りをすれば前歯がどうなってるのかわかりそうなものなのに、とにかく動揺してるからもうアタマが回らない。心配してくれてる老夫婦やおばさんの言葉もこの辺りから耳に入ってないでとりあえず無意識に『だ、大丈夫です。あ、はい、本当、大丈夫です!』を連呼しているが頭の中はグルグル大混乱である。

え、え?今オレどうなってるの?前歯がないんだろ?しかも片方?!

自分でヴィジュアルが想像出来ない。

混乱した挙句浮かんだのが

いや、待て、待ってくれ。

多分そこまでは酷くない。

というかオレ、ハゲてないし。

もう少しマシな筈だ。

こんな感じか?

いや、正直ここまで爽やかに笑える精神状態にはなれない。

というかこれどうするの?歯医者?

歯医者で治るの?前歯だぞ?

なんか過去に前歯が虫歯になって差し歯にするって言ってた女の子がバイト先で居たな。。

当時はちょっと心の中でクスって笑ってしまったが、それがいけなかったのか?因果応報か?なんか牙狼っぽいぞ。。

とりあえず処置しないと、話はそれからだ。

さやか嬢も試合終了直後にすぐ歯医者に行ってなんか治ってたし、現代の医療技術ならなんとかなるはずだ!オレは科学の可能性を信じる!!

とりあえずかかりつけの歯医者に電話をする。

ツーツーツー、ガチャ!!

『はい、〇〇歯科です』

『あ、えーと、あの、えーそちらに通ってるものなですけどー、えーと、今ちょっと、事件というか、違うか、事故っていうか・・・、えーと』

断っておくが自分はコミュ障の部類ではあるがそこまで重度ではない。普段ならそこそこテキパキと会話ができる方だと信じてる。

が、心の動揺がそれをさせてくれない。今思うと人身事故を起こした人間ってこういう動揺に陥るのだと思った。自分の場合は完全に一人でドッタンバッタン大騒ぎしただけだが。

『はい』

『えーとですね、それで、なんか前歯が、前歯が無くなっちゃたんですよ。』

『抜けたんですか?』

『いや、違います!違います!!え、折れたんです!というか、欠片が、あれ、そういえば折れた前歯どこだ。。地面に散らばって・・・わからないな。。これじゃ。。』

『無くなっちゃったんですか?』


『いや、多分道路を探せばあると思うんですけど・・・、ていうか見つければ治るんですか?』

『えーとですね、今日は土曜なんで、予約受付が4時半までなんですよ』

は?!となった。

『え、え?ちょっと、え、ちょっとすみません』

と言ってスマホをホーム画面に戻して時間を確認した。

”PM 4:31”

続く

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